旅行の手配をプロに任せると、多くの人が「これで完璧」と安心してしまいます。特に大手旅行会社であれば、なおさらそう感じるでしょう。私自身も以前、そう思っていました。
でも実際には、大手であってもミスがゼロになることはありません。人が関わる以上、どうしてもエラーが発生する可能性はあるんです。そしてその小さなミスが、せっかくの旅行を台無しにしてしまうことも。
この記事では、よくある旅行手配ミスの具体例や原因、そして私たちができる再発防止の工夫について、わかりやすくお伝えしていきます。
なぜ大手でもミスが起きるのか?
情報共有が難しいから
大きな会社ほど部署が細かく分かれています。営業担当が受けたお客様の要望が、手配や経理の部署に正しく伝わらないこともあるんです。
例えば、旅行の日程変更を伝えたはずなのに、反映されていなかったというケース。これは、社内の連携ミスが原因です。情報がいくつもの段階を経ることで、伝言ゲームのように内容が変わってしまうことも。
忙しすぎて確認が雑になるから
旅行業界は、夏休みや年末年始などに一気に忙しくなります。私もかつて、繁忙期には朝から晩までパソコンの前に張り付いていたことがあります。
忙しさのあまり、「これで大丈夫だろう」と思い込みで作業してしまい、後から入力ミスが発覚することもありました。どんなに経験を積んだ担当者でも、疲れがたまると判断ミスを起こしやすくなるんです。
実際にあった旅行手配ミスの事例
フライト時間の勘違いで飛行機に乗れず
あるご家族が空港に到着した時、予約されていた便はすでに出発済み。原因は、午前と午後を勘違いしていたことでした。出発時間が「10:00」とあったのに、午後10時だと思い込んでいたんです。
こうしたミスは、数字1つの確認不足から起こります。本人だけでなく、同行者全員が困ってしまいますよね。
ホテルの部屋タイプが予約と違っていた
友人が体験したのですが、ツインルームを予約したのに、チェックインするとシングルルームしか用意されていなかったそうです。特にカップルや家族旅行の場合、こうした手配ミスは大きなストレスになります。
原因は、ホテル側の入力ミスか、旅行会社からの連絡ミス。どちらにしても、お客様にとっては関係ありません。結果として旅行の満足度が下がってしまうのです。
現地ツアーの予約が漏れていた
あるお客様がハワイでのイルカウォッチングを楽しみにしていたのに、現地に着くと「予約が入っていない」と言われたケースもあります。
現地アクティビティの手配は、どうしても交通や宿泊に比べて後回しにされがち。でも、楽しみにしていたイベントがなくなるのは、本当に悲しいことです。
行程表に間違いがあった
ツアー中、行く予定だった観光地が「定休日で休館」だったという話を聞いたことがあります。旅行代金に含まれるサービスなのに、それを受けられないというのは納得できませんよね。
事前の情報チェックと、旅行日程に合わせた再確認が足りなかったことが原因です。
パスポート情報の入力ミス
海外旅行で特に多いのが、氏名のスペルミスやパスポート番号の間違いです。ほんの1文字違うだけでも、飛行機に乗れなくなってしまいます。
こうした情報は、お客様から提供された内容をそのままコピー&ペーストするか、原本を見ながら確認するしか防ぐ手立てがありません。
ミスはなぜ繰り返されるのか?
担当者が何人も関わると、伝達が複雑に
1人のお客様に対して、営業・手配・経理など複数の人が関わります。それぞれが正しく情報を伝える必要があるのに、口頭やメモだけだとどうしても漏れが出やすいんです。
特に、途中で担当が交代した場合など、情報の引き継ぎがうまくいかないことがあります。
ダブルチェックが形式的になっている
一応、どこの会社でもダブルチェック体制はあるはずです。でも、実際には流れ作業になってしまっていたり、「この人がやってるから大丈夫」と信頼しきってしまったり。
私自身も、忙しい時に細かい確認を省いてしまった経験があります。後でヒヤリとすることも少なくありませんでした。
マニュアルが古く、更新されていない
料金改定やサービス内容の変更など、旅行業界は情報の変化が激しいです。にもかかわらず、古いマニュアルのまま作業を続けてしまうと、結果的に間違った情報をお客様に渡してしまうことも。
更新された情報をチーム全体で共有できていないことも、ミスの原因になります。
ミスを防ぐためにできること
チェックリストの作成と見直し
自分の作業内容を細かくリストにするのは、とても効果的です。たとえば、「航空券:便名・日付・人数・座席」「ホテル:部屋タイプ・朝食の有無」など。
チェックリストに沿って確認すれば、漏れが減ります。私はこの方法で、細かいミスがだいぶ減りました。
チーム全体での情報共有
口頭だけで済ませるのではなく、共有ツールを使うことで伝達ミスを防げます。LINEやチャットツール、Excelの共有シートなど、手軽な方法でOKです。
誰が何を担当し、誰がチェックするのかをはっきり決めることもポイントです。
最新システムとマニュアルの整備
顧客情報を一元管理できるシステムを使えば、入力ミスのリスクも減ります。また、失敗事例を集めたマニュアルをチームで共有することで、同じミスを繰り返さずにすみます。
会社全体で仕組みを整えることが、最大の再発防止につながります。
ミスを責めず、改善につなげる組織づくりを
旅行会社で働いていると、どうしても避けられないのが「手配ミス」です。私もこれまでに何度か、ヒヤッとする場面に立ち会いました。ただ、そのたびに思うのは、誰かを責めても根本的な解決にはならないということです。
ミスが起きたとき、「担当者の確認不足だったね」と個人の責任で片づけてしまうと、同じようなことが繰り返されてしまいます。本当に大切なのは、「どうしてそのミスが起きたのか?」を、組織全体で一緒に考えることだと思います。
例えば、入力作業を急いでいるときに誤字が起きた場合。これは、その人の注意力だけが原因ではなく、時間的な余裕がない職場環境が背景にあるのかもしれません。そういった視点を持つことで、業務フローの見直しや、仕組みの改善に繋がります。
社員がミスを正直に報告できる雰囲気があるかどうかも、とても大切です。私の経験上、安心して声を上げられる職場では、ミスの芽を早めに摘むことができます。責めるよりも、活かす姿勢が、結果としてミスの再発防止につながると感じています。
ヒヤッとした経験こそ、宝になる
大きな事故やクレームに直結する前の小さなミス、いわゆる「ヒヤリハット」の事例って、本当はすごく貴重なんです。私の職場でも、何気ない共有から大きな気づきが生まれたことが何度もあります。
例えば、あるスタッフが「日付の表記が逆になっていたのを直前で見つけた」という話をしてくれたことがありました。何でもなさそうに見える話ですが、それを聞いて以降、私もダブルチェックの際は日付を重点的に確認するようになりました。
こういった事例を共有すると、同じような場面での注意力が格段に上がります。社内チャットや朝礼など、ちょっとしたタイミングでヒヤリハットを話す習慣があるだけで、全体の意識が変わっていくのを感じます。
プロ意識が、細かい確認を生む
旅行の手配って、見方によっては単純な事務作業に見えるかもしれません。でも、私たちが扱っているのは、お客様の「大切な思い出」です。そう思うと、1件1件の確認にも自然と力が入ります。
以前、名前のスペルを1文字間違えただけで、航空券が使えなくなってしまったケースがありました。その時、私は自分の確認の甘さを心から悔やみました。でもその経験があったからこそ、今では名前や日付のチェックは何度でもしています。
こうした意識は、個人の責任感だけでなく、チーム全体で「いい旅を届けよう」という共通の気持ちがあるから生まれるのだと思います。
ミスを防ぐための具体策
旅行手配のミスを完全にゼロにするのは難しいかもしれませんが、減らす方法はたくさんあります。私が実践していることをいくつか紹介します。
まずはチェックリストの活用です。便名、日付、人数、パスポート情報、宿泊施設の部屋タイプなど、確認すべき項目を一覧化して、毎回チェックを入れるようにしています。忙しいときほど、こういう仕組みが助けになります。
次にチームでの情報共有。口頭だけで伝えると内容にズレが生まれることがあるので、基本はチャットや表計算ソフトを使っています。「今どこまで進んでいるか」「誰が何を確認したか」が見えるだけでも安心感が違います。
さらに、マニュアルの定期更新も重要です。ルールや料金、航空会社のシステムなどは頻繁に変わるため、社内ルールも定期的に見直しています。古い情報のまま対応してしまうのが、実は一番の落とし穴です。
ミスをゼロに近づける組織が、信頼を生む
旅行手配ミスは、取り返しのつかない事態にもなりかねません。私も過去に、予定していたツアーが現地で予約されていなかったというトラブルに直面したことがあります。お客様のがっかりした表情は、今でも忘れられません。
でもその後、社内で情報共有を徹底したことで、似たようなミスはぐっと減りました。個人だけでなく、チーム、会社全体でミスを見つけ、改善していく姿勢が大切なんだと実感しました。
社員一人ひとりがプロ意識を持ち、日々の確認を丁寧に行うことで、信頼は自然と積み重なっていきます。どんなにシステムが整っていても、最後に信じられるのは人の目と気持ちです。
よくある質問(Q&A)
Q1. 手配ミスが起きたらどうしたらいいですか?
A1. まずはお客様にすぐ謝罪し、ミスの内容を正確に説明します。そのうえで代替案を提案し、影響を最小限に抑えるよう努めます。後日、社内で共有し、同じミスを防ぐ仕組みを見直すことも大切です。
Q2. 個人手配でもミスはありますか?
A2. はい、個人でもよく起こります。特に多いのが名前のスペル間違いや、日付の入力ミスです。予約完了後はメールや画面の内容をしっかり確認しましょう。
Q3. 自動化すればミスは防げますか?
A3. 一部のミスは減らせます。ただし、情報の入力ミスや、システム自体の不具合が原因になることもあります。人の目で最終確認する体制は、必ず残しておくべきだと思います。