「おまかせで」と言われてプランに迷うこと、ありませんか?たくさん提案しても成約に繋がらず落ち込むこと、私も経験があります。旅行プランは、単に情報をまとめるだけでは通用しません。お客様自身も気づいていない“本当の希望”を引き出すこと。それこそがプロの腕の見せどころです。この記事では、私が実際に使っている思考法とヒアリングの具体的なコツを全部お伝えします。この方法を身につければ、お客様の期待を超える自信ある提案ができるようになります。
なぜプロの思考が必要なのか?
たとえば、お客様が「ハワイに行きたい」と言ったとしても、それだけでは本質は見えません。「日常から離れてのんびりしたい」「マリンスポーツを楽しみたい」「写真映えする場所に行きたい」など、目的は人それぞれです。もしその言葉をそのまま受け取ってしまうと、「休むプランが欲しい」と思っている人に、アクティビティ満載の提案をしてしまうかもしれません。プロの思考とは、お客様の表面的な言葉ではなく、その裏にある感情や目的を深く探ること。そしてそれを形にすることこそ、旅行プランナーに求められる大切なスキルです。
潜在的なニーズを引き出す意義
「国内温泉旅館へ行きたい」とおっしゃっても、その奥には「夫婦ふたりで静かに過ごしたい」「子育てから解放されたい」という思いがあるかもしれません。そうした本音がわかると、ただ温泉を予約するのではなく、静かな客室や特別ディナーを提案できるようになります。こうしたひと手間が「思いがけない満足」につながり、お客様の信頼を得る道にもなっていきます。プロは、お客様の言葉の背後にある「なぜ」をいつも考え続けています。
ヒアリング前の準備が勝敗を分ける
良いヒアリングは、お客様と実際に話す前から始まっています。たとえば過去の旅行履歴、趣味、SNSの投稿からも、興味や価値観を予想できます。それを知った上で質問すれば、お客様に「自分のことを理解してくれている」と感じてもらえて、自然な信頼関係が築けます。そのうえで、最新の観光情報や個性的なアクティビティを準備しておくと、ヒアリング中に具体的に提案でき、お客様の心を動かすことができます。
信頼関係は第一印象から
ヒアリングがうまくいくかどうかは、第一印象で8割が決まると私は感じています。清潔感のある身だしなみはもちろんですが、「お客様の旅を素敵にしたい」という気持ちが伝わる言葉遣いや雰囲気が一番大事です。相手の話に共感しながら、相づちを大切にすることが、安心感を生みます。その安心感は、お客様が本音を話してくれるきっかけにもなります。
本当の希望を引き出すヒアリング術
ひとつの質問ではなく、心理学的に工夫した質問を使うと効果的です。たとえば、「これまでの旅で一番楽しかった思い出は?」と聞くと、お客様は自由に話しやすくなります。また、「温泉とアクティビティ、どちらを重視されますか?」のような二択質問を挟むと、興味の方向性がわかりやすいです。このように質問と問い方を組み合わせると、お客様も話しやすく、プロも必要な情報を効率的に引き出せます。
感情を読み取ることが大切
お客様の言葉だけでなく、声のトーンや表情にも注意を向けることが大切です。たとえば、「ゆっくり過ごしたい」と言いつつ少し疲れた表情をしていたら、その背景には本当にリラックスが必要な状態かもしれません。そして、笑顔が自然に出る話題があれば、それが「本当に好きなこと」だとすぐに気づけます。こうした非言語情報こそ、プランを差別化するヒントになります。
質問は言い方が9割
「予算はいくらですか?」とストレートに聞くのは、相手を緊張させてしまいがちです。代わりに、「これまでの旅行費用の目安を参考程度に教えていただけますか?」と聞くと、答えやすく感じてもらえます。さらに、「海辺のホテルと市街地のホテル、どちらがお好みですか?」のような具体的な選択肢を提示すると、イメージしやすく、自然な反応を引き出せます。
ヒアリングシートで深掘りを漏れなく
ヒアリングシートは、聞き漏れ防止に優れたツールです。基本情報に加え、旅行目的や同行者との関係、過去の旅行経験など、深い質問も準備しておくことをおすすめします。シートに沿って対話しながらメモを取れば、自分のプラン構想も整理でき、お客様も「丁寧に聞いてもらえてる」と感じてくれます。
魅力的なプランを作るための考え方
お客様に「この旅、楽しみ!」と思っていただけるプランを作るには、ただ観光地を並べるだけでは不十分です。私自身、最初はそれで失敗した経験があります。大切なのは、お客様の言葉の奥にある気持ちをくみ取り、それを具体的な旅の形にすることです。
情報をキーワードに分けて整理する
ヒアリングで聞いた希望を、頭の中で漠然と覚えておくだけではもったいないです。私はいつも、聞いた内容を一度「キーワード」に分けてノートに書き出しています。たとえば「ハワイでのんびりしたい」という希望があった場合は、「ハワイ」「のんびり」「ビーチ」「夫婦旅」「高級感」など、テーマや目的を小さく区切っていきます。
そこから、「のんびり」ならプライベートプール付きの部屋、「高級感」なら海が見えるスパやディナー、というふうに具体的な体験へと発展させていくんです。この方法を使うと、自然とお客様に合った提案が見えてきます。
プランはひとつじゃなくていい
お客様の中には、はっきりした希望がまだ定まっていない方も多いです。そういう時は、私はいつも「違う角度からのプランを2〜3案」用意します。たとえば、「リラックス中心の旅」「アクティブに遊べる旅」「コスパを重視した旅」など。
実際に比べていただくと、「こっちの方がしっくりくる」とおっしゃってくださることが多いんです。選択肢があることで、お客様自身も本当の好みに気づけるというメリットがあります。
プランにストーリーを持たせる
これは私が特に意識していることですが、旅程はできるだけ「物語」のように組み立てます。たとえば、「初日は到着してホテルでのんびり。2日目は朝から地元の市場で食べ歩き。午後は絶景スポットで写真を撮って、夜はロマンチックなディナー」といった流れ。
こうすることで、お客様は旅を想像しやすくなり、「この旅行、素敵かも」と感じてくださいます。実際に「読んでるだけでワクワクしました」と言っていただけたこともあります。
提案で信頼を得るための工夫
プランができたら、それをどう伝えるかも大切なポイントです。内容が良くても、伝え方ひとつで印象は大きく変わります。
提案資料はシンプルで楽しいものに
私はいつも「わかりやすくて楽しい資料」を心がけています。文字ばかりだと読む気がなくなってしまいますよね。なので、写真や地図を入れて、見るだけで旅の雰囲気が伝わるように工夫しています。
さらに、現地でのちょっとしたコツや、旅先で便利なアプリ情報などを入れると、お客様の反応がとても良いです。これだけで「この人にお願いしてよかった」と言ってもらえることが増えました。
提案後の反応はしっかり聞く
プランを出した後は、お客様の感想を必ず聞いています。うまく伝わったのか、気になる点はなかったか。これを聞くことで、次の提案がさらに良くなるんです。
特に、「ここは嬉しかった」「ここはちょっと違ったかも」というポイントは、次のヒアリングや別のお客様への提案にも役立ちます。私はこの時間を「宝の山」だと思っています。
小さな気配りが心に残る
旅行プランには含まれていない、ちょっとした情報を添えることも効果的です。たとえば、地元の人しか知らない小さなカフェや、ちょっとした穴場スポットなど。
こういった情報をそっと添えると、「この人は本当に自分たちの旅を考えてくれている」と感じていただけます。私はこの一手間が、一番お客様の心に残ると感じています。
まとめ
旅行プランを作る時に一番大切なのは、お客様の言葉の裏にある「気持ち」を丁寧に読み取ることです。ただ聞くだけでなく、キーワードに分けて整理し、複数の選択肢を用意し、物語のような流れにする。こうすることで、プランはお客様にとっての「特別な体験」に変わっていきます。
さらに、提案の伝え方や、その後のフォローまで丁寧に行うことで、信頼関係もぐっと深まります。これらのプロセスを積み重ねることで、あなた自身も「選ばれるプランナー」に近づいていけるはずです。
よくある質問(Q&A)
Q1. ヒアリングの時間が短い時はどうすれば?
→ 事前に質問シートを渡して、書いてきてもらうのがおすすめです。対面では深い話に時間を使えます。
Q2. お客様が予算を教えてくれない時は?
→ 「今までのご旅行でだいたいどのくらいの予算でしたか?」と聞くと、答えやすくなります。また、具体的な選択肢を出して聞いてみるのも効果的です。
Q3. プロの思考法ってどうやって身につけるの?
→ 日常から「なぜそう感じたのか?」を考えるクセをつけるのが第一歩です。身近な人との会話でも実践できます。