旅行会社を自分で立ち上げたい。旅のプロとして独立したい。
そんな夢を持っている方にとって、旅行業務取扱管理者の資格は欠かせない一歩です。
ただ、資格を取ればすぐ起業できるのか、どのくらいお金がかかるのか、不安も多いですよね。
ここでは、旅行業務取扱管理者の資格を活かして旅行会社をつくるための準備や手続き、費用の目安まで詳しくまとめました。
私も同じように悩んで調べた経験があります。この記事が、あなたの一歩を後押しできれば嬉しいです。
旅行業務取扱管理者が必要な理由と起業のステップ
資格がなければ旅行会社はつくれない
旅行業法では、営業所ごとに管理者を1人以上置くことが義務です。
この管理者こそが「旅行業務取扱管理者」で、旅行の契約や苦情対応などを任される責任ある立場です。
この資格がないと、法律上、旅行会社として営業できません。
つまり、起業を目指すならまずこの資格の取得が絶対条件なんです。
資格は2種類。ビジネスに合わせて選ぶ
旅行業務取扱管理者には2種類あります。
- 総合旅行業務取扱管理者(海外・国内どちらも扱える)
- 国内旅行業務取扱管理者(国内旅行のみ扱える)
たとえば、国内の温泉ツアーや地域密着の旅行を扱いたいなら国内資格でOKです。
将来、海外旅行も扱いたいなら最初から総合を狙うのがおすすめです。
どちらを選ぶかは、あなたのビジネスプラン次第です。
旅行会社設立のステップ
事業形態は個人か法人かを決める
最初は個人事業主として始める人が多いです。
手続きが簡単で費用も安く済むからです。
ただし、信用や事業拡大を考えるなら法人化も選択肢になります。
私はまず個人でスタートし、利益が安定してから法人に移行するつもりです。
営業所の条件と準備
旅行業を始めるには営業所が必須です。
自宅を使ってもいいですが、事務スペースは生活空間と分けなければいけません。
電話・パソコン・プリンタのほか、旅行約款やパンフレット類の保管スペースも必要です。
これが整っていないと登録できないこともあるので要注意です。
営業保証金か保証金制度への加入
旅行会社のリスク対策として、「営業保証金」か「弁済業務保証金制度」に加入する必要があります。
営業保証金は、例えば第3種旅行業なら100万円が必要です。
ただ、これは個人には負担が大きいですよね。
そこでよく使われるのが、旅行業協会(JATAまたはANTA)の「保証金制度」です。
こちらは20%の分担金を払えばOKで、第3種なら約20万円で済みます。
私もこの制度を利用するつもりです。
起業にかかる費用と資金調達方法
初期費用と運転資金の目安
初期費用には以下のようなものがあります。
- 旅行業登録手数料(数万円〜)
- 営業所の家賃や敷金・礼金
- 機材(PC・プリンタなど)の購入費
- 保証金または保証制度の分担金
最低でも100万〜200万円程度は見ておいた方が安心です。
さらに、開業直後はすぐに利益が出ない場合も多いので、6ヶ月分の運転資金を確保できると安心です。
資金調達の方法
資金が足りない場合は、日本政策金融公庫の「新創業融資制度」や、自治体の融資制度を使うのが現実的です。
低金利で利用できることが多く、実際に多くの起業家が活用しています。
また、家族や知人からの支援、クラウドファンディングも選択肢になります。
大切なのは、事業計画書をきちんと作り、熱意や計画の現実性をしっかり伝えることです。
旅行業の開業手続きと必要な書類
登録申請は“どこに出すか”が重要
旅行業を始めるには、まず「登録」が必要です。
でもこの登録、じつは申請先が2つに分かれているんです。
あなたが扱う旅行の内容によって、以下のように変わります。
旅行業の種類 | 扱える旅行 | 申請先 |
---|---|---|
第1種旅行業 | 国内・海外 | 観光庁長官 |
第2種旅行業 | 国内のみ(募集型) | 都道府県知事 |
第3種旅行業 | 国内のみ(小規模) | 都道府県知事 |
地域限定旅行業 | 限られた地域内のみ | 都道府県知事 |
たとえば「海外旅行を扱いたい」「大規模に全国展開したい」という場合は観光庁長官への申請になります。
逆に、地域密着の国内旅行を小さく始めたい方なら、都道府県知事でOKです。
登録には多くの書類が必要で、特に「過去に旅行業で不正がなかったか?」など、かなり細かくチェックされます。
だからこそ、事前準備がすごく大切なんです。
登録時に必要な書類まとめ
旅行業の登録には、ざっくり言っても以下のような書類を揃える必要があります:
- 登録申請書
- 履歴書(代表者・管理者)
- 宣誓書(旅行業法第6条に違反していない旨の誓約)
- 住民票の写し
- 商業登記簿謄本(法人)/身分証明書(個人事業主)
- 貸借対照表・損益計算書(新設の場合は開業計画書)
- 営業所の賃貸契約書など(使用権限の証明)
- 旅行業務取扱管理者の選任表・履歴書
書類の様式は、自治体によって微妙に違うことがあります。
そのため、申請先のホームページや窓口で事前に確認しておくと安心です。
登録には、提出から許可までに1〜3ヶ月程度かかることもあるため、余裕を持ったスケジュールを立てておきましょう。
登録が完了した後の流れと注意点
登録が通ると、いよいよ**「旅行業の登録票」**が交付されます。
この登録票が手に入れば、旅行会社としての営業ができるようになります。
でも、これで終わりではありません。ここからも大事なステップがあります。
✅ 営業保証金 or 弁済業務保証金分担金の供託
登録完了後、一定期間内に「供託」が必要です。
供託しないと、実際に営業を始めることができません。
- 営業保証金 → 第3種で100万円
- 弁済業務保証金制度(旅行業協会へ加入)→ 分担金 約20万円〜
多くの小規模事業者は、後者(協会加入)を選んでいます。
✅ 登録票の掲示義務
旅行業登録票は、営業所のお客様から見やすい場所に掲示しなければいけません。
これは法律で義務づけられています。
✅ 定期的な報告と研修
旅行業者には、以下のような継続的な義務もあります:
- 毎年の事業報告書の提出
- 旅行業務取扱管理者の定期研修受講
- 苦情対応の記録と改善
これらを怠ると、行政指導や登録取り消しのリスクもあるため、誠実な運営が求められます。
成功する旅行会社のビジネスモデルと戦略
小規模旅行会社だからこその強み
個人や小規模の旅行会社が大手に勝つには、「ニッチ」や「専門性」がキーワードです。
- 趣味特化(例:登山ツアー、温泉巡り、御朱印集め)
- 人に寄り添う(例:親子旅、一人旅サポート、介護旅行)
- 地域密着(例:地元の農家と提携した体験型ツアー)
小回りが利くぶん、お客様の声にすばやく対応できるのが大きなメリットです。
「お客様の感動」が、リピーターや口コミにつながります。
専門性のあるターゲット層を絞り込む
成功している旅行会社に共通しているのは、“誰のための旅行なのか”が明確なこと。
たとえば:
- 50代以上の夫婦旅行専門
- 女性限定のリトリート旅
- ワーケーション(働きながら旅する)専門
- ペット同伴OKの旅専門
こんなふうにターゲット層を絞ることで、発信内容も明確になり、広告コストも抑えられます。
「〇〇に詳しい会社」と認知されれば、お客様の信頼も得やすくなります。
SNSとウェブでの集客は必須!
今の時代、旅行業の集客にSNSとウェブ活用は欠かせません。
SNS活用のポイント:
- Instagram・YouTube → 写真や動画で魅力を伝える
- X(旧Twitter) → リアルタイムで情報を発信
- Facebook → コミュニティや中高年層へのアプローチ
ツアーの様子やお客様の声を投稿することで、信頼感と共感が生まれます。
自社サイトでやっておくべきこと:
- ツアー紹介ページ
- お問い合わせフォームやLINE連携
- オンライン相談・予約システム
- ブログでSEO対策
ネットを通じて「あなたの会社を知ってもらう仕組み」が、成功へのカギになります。
まとめ
旅行会社の起業は、資格取得・資金調達・申請手続きと、ひとつずつステップを踏んでいく必要があります。
決して簡単ではありませんが、小さな旅行会社だからこそ提供できる価値があります。
ニッチに特化した旅や、顔の見える安心感のあるサービスは、大手にはない魅力です。
資格は、夢をかなえるための“スタートライン”。
丁寧に準備して、あなたらしい旅行会社をつくっていきましょう。
よくある質問(Q&A)
Q1. 旅行業務取扱管理者の資格がなくても、旅行会社を起業できますか?
A. できません。旅行業法により、営業所ごとに1名以上の有資格者が必要です。資格なしでは開業できません。
Q2. 起業にかかる費用はどのくらいですか?
A. 最低でも100〜200万円程度はかかります。登録手数料、保証金、営業所の設備費、運転資金などが含まれます。
Q3. 自宅で個人事業主として開業できますか?
A. 可能です。ただし、生活スペースと事業スペースは明確に分ける必要があります。事前に自治体へ確認するのが安心です。